亀売り 。

2003年8月26日
韋駄天が下駄を履いて、小学校の前を通りかかった。
 晩夏の午後4時の散歩であった。

 ツェノンの場

   と書いた立て札が立っている、
 
 っほう、哲学者ですか、

 すると、亀が歩いて向こうに這っている。

 おや、お客さんですね、と横合いから

 爺さんが出てきた。翁の能面の人。

 お若いのさん、亀に追いつき追い越すことは出来ないのですよ。なぜかならば、ゼノンの逆理と言って、・・・・

 なるほど、そう言われてみるとそうかも知れませんねえ。、と韋駄天はあっさり降参した。

 では お若いのさん、この亀を特別価格の百円でお譲りしましょう。

 いえいえ、お金はありませんから。

 韋駄天は、亀とは逆に歩って行った。

 向こうから亀が歩いてくる。

 韋駄天は、小学校を一周して、ツェノンの通りに逆の方から戻っていたから。

 亀と韋駄天は、正面衝突しそうになり、亀は気絶し、韋駄天は、亀を飛び越した。

 お見事、ゼノンの術は敗れました、さあ、亀に追いつき付き追い越してください。

 亀は止まったので、韋駄天が前進することに
  いちゃもんは付かないのだった。

 この亀は、無料です。

 かくして、韋駄天は、助けてやった亀に連れられ、沖縄竜宮場に行き、台湾を経て大陸に渡った。
 しかし、ヨーロッパで、奴隷になったと伝えられる。蛇足月。


 

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